花田学園スポーツ医科学フェスティバル2017 バスケットボール・水泳 トレーナーセミナーのご報告

 

平成 29年 9月 3日(日)、花田学園スポーツ医科学フェスティバル2017《バスケットボール・水泳トレーナーセミナー》を開催しました。

本校の卒業生・在学生のみならず、治療院を開業されている方、他校の学生トレーナーの方など多くの方々にお集まりいただきました。

●午前の部 奥脇透先生によるご講演

午前中は奥脇透先生(国立スポーツ科学センター副センター長、メディカルセンター長)から「筋損傷について」ご講演いただきました。奥脇先生は日頃から多くのトップアスリートの診察を行っていらっしゃるため、その豊富な経験から筋肉にまつわるケガについてお話しいただきました。講義はMRIや動画、イラストなどがふんだんに使用され、皮下でどのような損傷が発生しているのか、非常にイメージしやすかったと思います。肉ばなれのⅡ度損傷以上の症例には筋腱移行部や腱膜が損傷しているケースも多い。遠心性収縮による伸張にねじれが加わることで筋腱移行部が離れていく(損傷する)ため、「スジ離れ」という言葉を広めていきたいとのこと。また、受傷時の選手の感覚「ピリッ」「ブチッ」「ドンッ」などを聞くことが重症度を把握するヒントになるため、医師やトレーナーが先走りをしないことが重要。回復過程はストレッチで判断できることなど、現場で選手の対応にあたるトレーナーには大変参考になる内容でした。

●午後の部 分科会

午後からは分科会1(13:00~)・2(14:40~)が行われました。

分科会1はA会場「ジュニア選手のための評価とアプローチの実際」三富陽輔先生(公益財団法人日本水泳連盟)、

B会場「実技・超音波で見る筋と腱」小山浩司先生(東京有明医療大学)。

分科会2では、A会場「競技特性の理解と外傷予防の方策」永野康治先生(日本女子体育大学)、笹木正悟先生(東京有明医療大学)、B会場「実技・現場でのドライランドトレーニング」佐々木秀男先生(公益財団法人日本オリンピック委員会)が行われました。

小山先生の超音波では実際にモデルを使って足関節の前方引き出しをした際の靱帯の様子や、腹部のトレーニング時の筋の反応など、実際に機器を操作して確認していただきました。

佐々木先生のトレーニングは、実際にコンディショニング時に実施している体幹トレーニングを参加者の方にも実践していただきました。佐々木先生は試合前のコンディショニングをトレーナーの手に委ねるのではなく自分で対応する力を養って欲しいと考え選手指導をしているとのことでした。

「ジュニア選手のための評価とアプローチの実際」三富先生は、ジュニアの育成について年代別のサポートの違い、水泳選手に発生しやすい障害(腰部、肩、膝、足関節、肘)やそれらに対する対応についてご講演いただきました。

「競技特性の理解と外傷予防の方策」では、笹木先生からは受傷機転となる動き、動作の評価としてタックジャンプアセスメントやクロスドロップジャンプの有用性について提案されました。永野先生はバスケットボール選手に体幹加速度計を装着しプレー中の衝撃について分析を行った結果を発表いただきました。衝撃を軽減させるためには体幹の前傾を大きく、側傾は小さくすることが重要で、そのための指導方法などについてもご教示いただきました。

今回のセミナー開催にあたり、公益財団法人日本水泳連盟医事部連携日本水泳トレーナー会議、WJBL(一般社団法人バスケットボール女子日本リーグ)、一般社団法人トレジャーリング、大塚製薬株式会社にご協力いただきました。